スレート屋根の寿命とメンテナンス|劣化サインを解説
スレート屋根は、近年多くの住宅で使用されている人気の屋根材ですが、適切なメンテナンスをしなければ、雨漏りや劣化によるトラブルのリスクが高まります。
この記事では、スレート屋根の寿命や劣化サイン、適切なメンテナンス方法をご紹介します。
□スレート屋根の寿命は?劣化サインの見分け方
スレート屋根は、一般的に20年程度が寿命と言われています。
しかし、これはあくまでも目安であり、実際の寿命は、スレートの種類や製造時期、環境、メンテナンス状況によって大きく異なります。
スレート屋根の寿命を長く保つためには、劣化サインを見逃さず、適切な時期にメンテナンスを行うことが重要です。
では、スレート屋根にどんな劣化サインがあるのでしょうか。
1: コケや藻の発生
スレートの塗膜が劣化し、防水性が損なわれると、屋根の上に溜まったホコリや水分を栄養にしてコケや藻が発生します。
コケや藻は、美観を損なうだけでなく、屋根面がじめじめした状態になりやすく、さらに劣化を進行させる原因となります。
2: 色あせ・変色
スレート屋根の表面が白っぽく色あせたように見える場合や、ツヤが失われている場合は、スレート表面の塗膜が劣化しているサインです。
白っぽい粉のような色あせは、「チョーキング」と呼ばれ、塗料の顔料が表面に浮き出ている現象です。
3: 塗膜の剥がれ
塗膜の劣化が進むと、塗膜は徐々に剥がれはじめます。
ここまで劣化が進むと、屋根の防水性はほぼ失われ、どんどん水分を含む状態になります。
4: スレートの反りや割れ
塗膜が剥がれた状態で長期間放置していると、スレート本体に雨水が浸み込み、スレートの強度が損なわれ、もろくなります。
さらに、雨水の吸収・乾燥が繰り返されるうちにスレートが変形し、反りや割れなどが見られるようになります。
スレートの下の防水層の劣化も早まるため、雨漏りの危険性も高まります。
□スレート屋根のメンテナンス方法と費用|築年数別の適切な対応
スレート屋根のメンテナンスは、築年数によって適切な方法が異なります。
1: 5~7年に1度の点検
スレート屋根は、新築から5~7年を目安に点検することをおすすめします。
屋根は、高さがあり普段目に入りにくいため、劣化やひび割れなどの傷みが確認しにくく、不具合を見逃しやすいためです。
スレート屋根の不具合に早く気付ければ小規模なメンテナンス対応ですみ、結果的に費用を抑えることができます。
2: ヒビ割れの補修
スレートにヒビ・欠け・割れが入った場合は、部分的な補修や部分的な交換を行います。
小さなヒビであれば、ヒビを埋めるだけのコーキングで十分補修できるケースもあります。
部分的な交換は、割れたスレート材の、他のスレート材と重ならず見えている部分を切り取り、上から新しいスレート材をコーキング材で貼り付けるかたちで実施します。
3: 棟板金の修理
屋根の一番高い部分である「棟」は、板金で覆ってあります。
強風などの影響でこの板金を留めているクギがゆるんで隙間ができたり、さびて穴があいたりすることがあります。
棟板金の不具合は、クギの緩みなど軽いものの場合は打ち直し、サビや反りなどの劣化が進んでいる場合は、全体的な交換が必要です。
4: 屋根塗装
色あせや汚れ、ヒビ割れ、塗膜の剥がれなどの不具合を直し、屋根の防水性や美観を保つことができるメンテナンスです。
屋根の材質や、使われた塗料によって異なりますが、スレート屋根の防水性を保つためには、10~15年おきに塗り替えを行いましょう。
5: 重ね葺き(カバー工法)
古いスレート屋根の上に、ガルバリウム鋼板や、新しいスレート材を葺くメンテナンスです。
一般的に、スレートの劣化が進み、塗装では補修できない場合や、劣化したスレート屋根にアスベストが含まれている影響で、撤去費用がかかる際に行われます。
重ね葺きのメリットは、以下の通りです。
・既存の屋根材を撤去する費用がかからないため、葺き替えよりも安価
・工期が短い
・屋根が二重になるため、屋根の断熱性・遮音性・防水性が向上する
一方でデメリットは、屋根が重くなるため建物の負担が増えることです。
建物の負担が増えることで、建物自体の耐震性が損なわれ、重みにより構造部分の劣化が早まることがあります。
6: 葺き替え
既存の屋根をすべて剥がして、新しい屋根材を設置するメンテナンスです。
葺き替えを行う際は、屋根の下地板の補修や交換、防水シートも交換ができます。
万が一雨漏りをしていた場合、原因の根本的な解決ができます。
費用は、新しく葺く屋根材の価格によって異なります。
また、古いスレート材を撤去・廃棄する費用も必要です。
(1平方メートルあたり1,500~3,500円)
□まとめ
スレート屋根の寿命は20年程度ですが、適切なメンテナンスを行うことで、より長く安全に利用することができます。
築年数や劣化状況に応じて、点検、補修、塗装、重ね葺き、葺き替えなど、適切なメンテナンス方法を選択することが重要です。
また、古いスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性があるため、アスベスト対策も忘れずに行いましょう。
スレート屋根のメンテナンスは、専門業者に依頼することをおすすめします。
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